こんにちは。一人サロンコーチのかとうひろきです。
「お客様には満足していただけている気がする。それなのに、口コミも紹介も、ほとんど広がっていかない」
そんなふうに感じている方は、少なくないと思います。
これまで100名以上のサロンオーナーさんとご一緒してきて、ひとつ、ほぼ例外なく共通していたことがありました。
紹介で悩んでいる方は、紹介をお願いしていません。
一度も、です。
ただ、これは手を抜いているということではありません。むしろ逆で、真面目な方ほど言えないのです。
営業みたいで気が引ける。お客様に気をつかわせたくない。断らせてしまうのが申し訳ない。
そう感じて、言葉を飲み込んでいらっしゃいます。
その感覚は、間違っていません。
先に結論をお伝えします。
紹介に必要なのは「お願い」ではありません。「きっかけ」です。
この2つは、似ているようでまったく別のものです。そして、真面目な方が言えないのは「お願い」のほうで、紹介に必要なのは「きっかけ」のほう。
だから、言えないままで大丈夫です。渡すものを、変えるだけです。
なお、ここから先は「紹介」という言葉を軸にお話しします。
口コミは、紹介が起きたあとに広がっていく結果のほうで、あなたがいま手を動かせるのは、紹介の側だからです。
「お願い」と「きっかけ」は、別のものです
まず、ここを分けておきたいと思います。
お願いは、紹介という行動を、相手に引き受けてもらうことです。「紹介してください」と伝えた瞬間、ボールはお客様の手に渡ります。やるか、やらないか。その判断の責任も、一緒に渡してしまいます。
きっかけは、お客様が誰かに話したくなったときに使える材料を、先に置いておくことです。使うか使わないかは、お客様が決めます。こちらは、渡すだけです。
この違いが、気持ちの重さをまるごと変えます。
あなたが「言えない」と感じているのは、前者です。そして、あなたのサロンに足りていないのは、後者です。
つまり、紹介が広がらない理由は「お願いする勇気がない」ことではなく、「きっかけを渡す機会がない」ことなのです。
なぜ「紹介してください」は、かえって紹介を止めてしまうのか
念のため、お願いのほうも見ておきます。言えないままでいい、とお伝えした根拠です。
理由は3つあります。
ひとつめは、重いこと。
「紹介してください」は、お客様にとって小さくない宿題になります。
ふたつめは、見返りを求めているように聞こえること。
それまで積み上げてきた「この人だからお願いしたい」という気持ちが、少しだけ商売の色に染まってしまいます。
みっつめは、義務感を生むこと。ここがいちばん見落とされます。お願いされたお客様は、断りたくないけれど心当たりもない、という状態に置かれます。
すると、次にいらっしゃるときに、ほんの少し気まずさが残ります。紹介ひとつのために、いちばん大切な常連さんとの関係に、小さな影を落としてしまう。
これは、避けたいことです。
ですから、あなたの「言いたくない」という直感は、正しいのです。そこは、無理に乗り越えなくて大丈夫です。
それでも「何もしない」では、紹介は起きません
ここが、今日いちばんお伝えしたいところです。
「お願いしなくていい」は、「何もしなくていい」ではありません。
お客様は、満足していても、きっかけがなければ人に話しません。これは悪気ではなく、思い出す場面がないだけです。
想像してみてください。お客様が、お友だちとお茶をしています。相手が「最近、体が重くて」とこぼす。
そのとき、あなたのサロンが頭に浮かぶかどうか。
浮かんだとして、なんと説明すればいいか、言葉が出てくるかどうか。そして、その場でサロンのページを送れる状態かどうか。
この3つのうち、ひとつでも欠けていれば、紹介は起きません。お客様がどれだけ満足していても、です。
満足していただくことは、紹介の必要条件ではありますが、十分条件ではないのです。
紹介が起きない、もうひとつの理由
きっかけを渡していないこと。それが最初の原因です。
そして、もうひとつ。渡すべき言葉を持っていない、という原因があります。
お客様は、紹介したくても、あなたのサロンをうまく説明できないことが多いのです。
「なんかいいところがあってね」「すごく良かったよ」。ここで止まってしまいます。
この言い方では、聞いた相手は動きません。何をしてくれる場所なのか、行くとどうなるのかが、わからないからです。
ですから、そのまま使える短い言葉を、こちらで用意しておきます。わたしはこれを「口コミフレーズ」と呼んでいます。
コツは、機能(事実)と感情(気持ち)を掛け合わせることです。
- 「体をていねいに見てくれる(事実)」×「安心できる(気持ち)」=体も心も整うサロン
- 「話をよく聴いてくれる(事実)」×「寄り添ってくれる(気持ち)」=寄り添ってくれて、ほっとできる場所
- 「ゆっくり時間をとってくれる(事実)」×「自然と眠くなる(気持ち)」=気づいたら眠ってしまう、静かな時間
事実だけだと、他のサロンと並べられて比べられます。気持ちだけだと、何をする場所かが伝わりません。掛け合わせて初めて、そのまま人に伝わる言葉になります。
この一言を、あなたのプロフィールやブログ、LINEのあいさつ文に、さりげなく置いておいてください。お客様は、誰かに話すとき、その言葉をそのまま借りてくれます。
渡すきっかけは、3つだけです
整理します。用意していただきたいのは、次の3つです。
1. 紹介できる言葉
先ほどの、機能×感情のひとことです。まずはひとつで十分です。
2. 送れる一枚
ブログの記事、LINEの登録ページ、サロンの説明ページ。どれかひとつで構いません。お客様が「これ見て」と送れるものが、ひとつあるかどうかです。ここが無いと、お客様は口頭で説明するしかなくなり、伝わる量が一気に減ります。
3. 重くない一言
たとえば、こんな言い方です。
「もし周りに、同じことで困っている方がいらっしゃったら、このページを送ってあげてくださいね。もちろん、無理はなさらないでください」
これは、お願いではありません。「使っていいですよ」という許可を渡しているだけです。だから、あなたも言いやすいはずです。
そして最後の「無理はなさらないでください」が効きます。紹介してもしなくても大丈夫だと伝えることで、義務感が消えます。義務感が消えると、かえって動いていただきやすくなります。
きっかけが効く「場面」を、先に決めておく
言葉を用意しても、渡す場面を決めていないと、結局言えないまま終わります。
紹介は、だいたい決まった場面から生まれます。
施術後の、少しゆるんだ会話のとき。帰り際のひとこと。そして、お客様のご家族やお勤め先の方が、同じ悩みを抱えたとき。
流れにすると、こうなります。
カウンセリングで安心していただく → 施術後に「今日はこんな状態でしたね」と、体の変化を言葉にする → お礼のご連絡で、もう一度つながる → 身近な方が困ったときに、あなたを思い出す
この流れができていれば、紹介は起こります。
きっかけの一言を置くのは、この中の「帰り際」がいちばん自然です。そこ一箇所だけ、決めておいてください。
心の中では、3つのことが働いています
なぜ、きっかけを渡すだけで人が動くのか。背景にある心理も、簡単にお伝えしておきます。
返報性——良くしてもらったら、返したくなる。施術後のひとこと、小さな気遣い。特別なことは要りません。ていねいに接すること自体が、返したい気持ちを育てます。
一貫性——自分で口にした言葉は、守りたくなる。お客様が「ここに来ると落ち着く」と言ってくださったら、それを覚えておいて、次回「前回、落ち着くとおっしゃっていましたよね」とお返しする。自分の言葉を受け止めてもらえると、その気持ちは、より確かなものになります。
好意——好きな人を、応援したくなる。あなたの人柄や想いが少し伝わると、お客様は「この方を応援したい」と感じてくださいます。
この3つが育っているところに、きっかけがひとつ置かれる。そのときに、紹介は起こります。順番が逆になると、うまくいきません。
13年、頼まずに紹介がつづいてきて思うこと
わたしのサロンは、広告費ゼロ、SNSに頼らないまま13年つづいていて、その多くを口コミと紹介に支えられてきました。
振り返っても、「紹介してください」と頭を下げた記憶は、ほとんどありません。
ただ、何もしていなかったわけでもありませんでした。
お客様が言ってくださった言葉を覚えておくこと。帰り際に、無理のない一言を添えること。送っていただけるページを、用意しておくこと。やっていたのは、そのくらいの小さなことです。
紹介は、頑張って集めるものではありません。かといって、待っているだけで届くものでもありません。ていねいな関わりの「あと」に、小さなきっかけをひとつ置いておく。13年やってみて、いちばん実感しているのは、そのことです。
今日からできる、最初の一歩
大きな仕掛けは要りません。
まず、これまでにお客様が言ってくださった「うれしかった言葉」を、ひとつ思い出してみてください。
「ここに来ると落ち着く」「あなたにお願いしてよかった」。その言葉が、あなたのサロンの口コミフレーズの種です。
それを書き留めて、機能(事実)とセットにしてみる。それだけで、お客様が使える言葉がひとつ生まれます。
きっかけを渡すのは、そのあとで大丈夫です。
よくいただく質問
Q. Googleの口コミを増やすには、どうすればいいですか?
考え方は同じです。「書いてください」とお願いするより、書きたくなる体験を先につくること。そのうえで、満足してくださっている方に「もしよければ、感想を残していただけるとうれしいです」と、感謝を土台にして軽く添える。そのときに、Googleの口コミページのリンクをお送りしておくと、行き先に迷わずにすみます。これも「送れる一枚」のひとつです。
Q. 紹介カードや紹介特典は、用意したほうがいいですか?
紹介カードは、あってもいいと思います。「送れる一枚」の役割を果たすからです。ただし割引などの特典は、おすすめしません。特典で動く紹介は、価格で選ぶ方を呼びやすく、この記事の考え方とはずれてしまいます。用意するなら、割引ではなく、サロンの説明が入った一枚にしてください。
Q. きっかけを渡しているのに、紹介が来ません。
多くの場合、原因は言葉のほうにあります。渡している言葉が「なんとなく良いところ」で止まっていないか、確かめてみてください。機能(何をしてくれるか)と感情(どう感じるか)が、両方入っているかどうかが分かれ目です。もうひとつ、そもそもお客様との関係がまだ浅い場合もあります。そのときは、きっかけより先に、常連さんとの関係づくりのほうが先になります。
Q. まだ紹介も口コミも、ほとんどありません。どうすれば?
焦らなくて大丈夫です。紹介は、関わったお客様の数ではなく、関わりの深さから生まれます。まずは、いまいらっしゃる数名の方と深くつながること。その方たちが、最初の紹介者になってくださいます。
もう少し深く知りたい方へ
常連さんとの関係づくりについては、こちらの記事にまとめています。 → 常連さんから始まるサロンの育て方
紹介の起点になる初回のカウンセリングについては、こちらです。 → 初回カウンセリングで決まる、選ばれ続けるサロンの関わり方
LINEでは、記事にしていない考え方や、「サロンの『選ばれる理由』が見つかる 強み言語化ワークシート(3点セット)」をお届けしています。よければ、のぞいてみてください。

